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未来の働き方はどうなる? 衆議院議員 小林史明氏 X 評論家 山田五郎氏 X ワーク・ライフバランス 小室淑恵氏が語る”人生100年時代”に求められる働き方とは #AdobeDocCloud

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日本は今、人生100年といわれる新時代を迎えています。これまで多くの日本人が行ってきた働き方から脱却し、新しい働き方デザインを模索する時期に来ていると言えるでしょう。先日行われた「Adobe Symposium 2018」では、株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役である小室淑恵氏がファシリテーターを務め、働き方改革について普段から独自の視点で言及されている衆議院議員の小林史明氏、評論家の山田五郎氏によるパネルディスカッションが行われました。

衆議院議員 小林 史明 氏
評論家 山田 五郎 氏
代表取締役 小室 淑恵 氏

まずは、それぞれの働き方改革に対する意見を交えた自己紹介タイム。最初は、企業でサラリーマンとして働く中で、過去の慣習や規制にぶち当たることが多かったことから、これらを変える側に回りたいと思い、政治の世界に飛び込んだという衆議院議員の小林史明氏。日本の未来は明るいと確信する一方で、行政の手続きは全て紙で行わなければならない上に、A自治体とB自治体ではフォーマットが異なることが多々あり、これらが国民全体の生産性を下げていると説明。この課題に対しては、行政システムの標準化を行う必要性を説いており、自身が総務省の働き方改革を1年間取り組んできた際には「左手に既存の仕事、右手で新しい仕事を掴み取りにいくスタイルで、現場発信で提案することにコミットし続けてきた」と話します。

次は、バブル時代の真っ盛りに、雑誌を作る仕事をされていたという評論家の山田五郎氏。毎週発売される某週刊誌の表紙の文字がギュウギュウに詰め込まれていることを例にとり、「あれをデザインでどうにかしろとか言ってる時点で改革は無理」と、現在の働き方改革の在り方についてコメントしています。また、本来は無駄な仕事を減らすITツールによって、要らないメールが増えたり、必要のないプレゼン資料を作らされたり、逆に仕事を増やしてしまっている要因にもなっていると指摘し、「まずは全体の仕事量を見直して、量を増やすのではなく、質を良くしていくという方向に進めていかないと改革は上手くいかないのでは」と投げかけます。

最後に、2006年に長男をご出産した3週間後に起業したという株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵氏。「1日8時間・1本勝負」を掲げ、秋田県などの遠方出張が入ったとしても、18時には保育園に子どもを迎えにいくスタイルで仕事をこなしていき、その結果、起業してから12年間、有給消化率と時間内労働を100%でキープし続けてるそう。働き方に関する書籍を多数執筆しており、2012年頃に国会で働き方改革についてプレゼンしたことをきっかけに、様々な議員から働き方に関する勉強会に呼ばれるようになったという小室氏。働き方改革については、「これまで労働力として取り込まれなかった人々が関われるものであり、今後労働人口が減っていく中で、日本は一人ひとりの生産性を上げていくことが最重要課題」と話します。

1つ目のテーマ:「もしもあの頃の働き方をデザイン出来たら?」

それぞれの昔の働き方を振り返る最初のテーマ。これについて、「数字だけで言えば、残業時間は200時間を超えていた」と山田氏。当時務めていた企業では90時間が上限で残業手当てが支給され、それ以上は振替休日がつくようになり、最大で月20日間の振替休日がついたこともあったそう。当時と今の働き方を振り返り、「今は会社にいる時間は短いかもしれないけれど、ITが発達したことで常にメールを見て仕事を気にしていたりするので、私の後輩はあまり楽しそうじゃない」とITの発展による働き方のマイナス面を交えながら話しました。

続けて山田氏は「日本人は”プロジェクトX症候群”にかかっている」と指摘。「プロジェクトX」は人的リソース、時間、予算がない中で、どうにか物事を進めるストーリーで構成されているため、それらを現実世界に置き換えた場合、無理して物事を前に進めようとすると、絶対に犠牲にしないといけなくなると、その理由を付け加えています。さらに、仕事でよく行くというスイスの時計見本市を例にあげ、あるメーカーの新製品の発表が間にあわず、ブースには図面だけが置かれてあることを目の当たりにしたことがあり、これを受けて「日本人も無理なことは無理と言える勇気を持つことが大事」とコメントしています。

小室氏はそれに同意し、さらに日本の労働生産性が低下している問題について触れました。OECDに加盟している先進国の中、日本が20年間続けて労働生産性が最下位である一方で、2か月間ほどバカンスをとる国が上位にランクインしている現状から、「日本は昔の働き方のままで正しいのかどうかをもう一度見直すべきではないか」と提議しました。これに応じて小林氏は、人口減少やテクノロジーの発展などにより、社会を取り巻く環境が大きく変わってきている背景を踏まえ、「日本人は既存のルールで我慢しながら効率をあげていくことは得意ですが、今はルールそのものを変えていくフェーズにきているのではないか」と話します。

また小室氏は、過去から現在までの労働人口の変遷について、1990年代は「人口ボーナス期」であったことから、長時間労働で仕事をしていけば成果が出やすい時代であったと話します。一方、少子高齢化によって、支える人より支えられる人のほうが多い「人口オーナス期」を迎えた日本では、人口ボーナス期で成功体験を積んできて、現在は経営のトップに関わる層が多いという現状から、「ご自身の若かった時代の成功経験を引きずらないで、いかに人口オーナス期に対応した経営ができるかを考える必要がある」と主張。さらに人口オーナス期では、男女フル活用で、いかに短時間で仕事をして生産性を高めるか、また、多様性のある意思決定プロセスを構築しつつ、様々な方面から求められるような付加価値が高い商品・サービスを短いサイクルでリリースすることが求められると小室氏は強調します。

2つ目のテーマ:「未来の働き方はどうやってデザインしていくのか?」

日本の働き方改革では、どう働くかに着目されがちであることを受け、「どう働くかではなく、いかに仕事を休みつつ、無駄な仕事をやらないようにしていく方が、働き方改革は早く浸透するのではないか」と山田氏。しかし、そのためには日本人の意識を根本から変えていく必要があり、”何を、どれだけしてきたか”を褒める従来の教育システムに課題があると触れ、「働き方改革を推し進めるには、義務教育レベルから意識を改革することが求められるのでは」と抜本的な見直しが必要であると説いています。

また日本のメディアでは、未来の働き方に付随するキーワードとして、AIやロボットの話題があがり、それらが介護や医療の現場を助けるといった社会福祉の側面が強く報道される傾向にあると話す山田氏。しかし、ヨーロッパではそれらを踏まえた上で、”今後の人々の生き方”にフォーカスした議論になっていることに触れ、「我が国もそうあるべきではないか」と続けます。

一方、本テーマについて、従来は国の視点が”組織起点”であったと語る小林氏。現在はデジタル社会に移り変わっていき、一人ひとりのデータを分析できる環境が整いつつあることから、”ヒト起点”で物事が考えられるようになるとのこと。また、行政によるテクノロジー活用事例として、つくば市や京都府におけるRPA導入による業務削減の事例や、従来は1500時間を費やしていた保育所の入園業務をAI導入で3分に短縮したさいたま市の事例を紹介しつつ、「行政がテクノロジーを活用することで、人々の立ちはだかっている壁を取り払っていき、未来の働き方を変えていくお手伝いができる」とコメントし、本セッションを締めくくりました。

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